UNFOLD
徒然草の表紙

徒然草

兼好法師

「することもないままに、一日じゅう硯に向かって、心に浮かんでは消えることを、とりとめもなく書きつけていると、妙に気が変になる」——そう断って始まる、二百四十三の短い文章の集まり。書いたのは、鎌倉時代の終わりに宮仕えを退いて出家した兼好法師(吉田兼好とも呼ばれる)。世の無常を説く段のとなりに、酒の席の無作法、家の造り、人の失敗談、好きな木の話が並ぶ。筋道の通った思想を組み立てるのではなく、一段ごとに完結しているので、どこから読んでも、一段だけ読んでも成り立つ。本文は大正期の校訂本(校註日本文学大系、校註: 山崎麓)から取り、漢字だけを新字体に直して、仮名遣いは当時のまま残している。