UNFOLD

陰翳礼讃

谷崎潤一郎

電灯を引き、水道を通し、便所にタイルを張る——近代の設備を日本家屋に入れようとすると、どこかが必ず落ち着かない。谷崎潤一郎はそこから話を起こし、日本の美は明るさではなく暗がりのほうにあったのだと説く。羊羹の色、漆器の底、蒔絵が蝋燭の火に応える光り方、能舞台の闇、女の歯の黒。西洋が影を追い払う方向へ進んだのに対し、日本は影を深めるほうへ進んだ、と。住まい・食器・照明・化粧から文学まで、生活のこまかい手ざわりを通して美意識を語った随筆。本文は青空文庫の新字新仮名版を収録している。