方丈記
流れていく河の水は絶えることがないが、そこにある水はもとの水ではない——その一文から始めて、鴨長明は自分が目にした都の災いを数え上げる。安元の大火、治承の辻風、福原への遷都、養和の飢饉、元暦の大地震。人も住まいもたやすく消える。五十を過ぎて出家した長明は、日野の山に一丈四方(方丈)の組み立て式の庵を建て、そこでの暮らしを細かく記す。琵琶と和歌、山の子どもとの散歩、粗末な食事。だがその最後で、この庵を愛していることじたいが執着ではないかと自分を問いつめ、答えられないまま筆を置く。鎌倉時代の随筆。本文は日本語版ウィキソースにある『国文大観』(1903 年)の翻刻を収録している。
