
人生の短さについて
「人生は短い」と人は言う。セネカはそれを真っ向から否定する。
人生は十分に長い。私たちがそれを短くしているだけだ。
浪費しているのは金ではなく時間で、しかも人は時間だけは平気で他人に配ってしまう。
——ローマの穀物供給を司る役人パウリヌスに宛てた、20 章の手紙のような論考。
前半は、時間をどう食いつぶしているかの観察が続く。多忙な人(occupati)は、
いつも「これが片づいたら」と言いながら、片づいたことが一度もない。
後半で話は転じ、過去は失われず、自分のものとして残ること、
そして書物を通して古人と交わる者だけが本当に長く生きる、という結論へ向かう。
セネカ自身は 65 年、皇帝ネロに死を命じられている。
